2021.06/09 実験のやり方(1)
研究開発において実験は不可欠である。この実験のやり方について、従来の科学的研究と同様の実験に異議を唱えたのは故田口玄一氏である。
そもそも20世紀に実験とは仮説に基づいて行え、と言われ続けた。ここで仮説とは何らかの現象や法則性を説明するための命題であり、真偽は不明である。この不明な点を明確にするために実験を行え、というのである。
例えば、手元に硬い物質Aがあるとする。この物質が電気を通すならば、電流と電圧の関係が存在し、それは正比例の関係にあることを小学校の理科で学習している。高校生になるとその比例係数が抵抗だと習っている。
このような形式知が身についているので、とりあえず豆電球と物質Aとを直列につなぎ電池を用意して電気が通じるかどうか試してみる。豆電球が点灯すれば物質Aは導電体であることがわかる。
この程度の実験では仮説を立てていない。もし、導電体であることが分かればよいだけならばこの程度の実験で終わりである。
この実験結果を利用して、日常において電池をエネルギー源とした道具の電池ボックスの電極のバネが壊れた時、とりあえずこの物質Aを適当な大きさにして利用することができるかもしれない。
仮に利用できたとしても適当な実験結果で電池ボックスの修理をしてはダメだ、と言っていたのが20世紀である。物質Aが手触り感とか目視でアルミフォイルと分かっていても仮説に基づく実験を要求された科学の時代である。
カテゴリー : 一般
pagetop