2021.06/23 樹脂の調達
高分子材料に限らず、あらゆる商品の価格は需要と供給の関係で決まるのは昔から知られている。一方で生産側の都合で、価格を操作する場合もある。例えば市場のシェアをとるために価格を下げて競争力を上げる場合だ。
過去の高分子材料の価格は、そのような歴史の中で価格が決まってきた。しかし、20世紀末から材料メーカーも価格競争ではなく、部材として付加価値をつける競争をするようになった。
ところが組み立てメーカーにとって材料メーカーの川下への進出が迷惑な場合がある。すなわち部材のスペックから、ノウハウが漏れるような場合である。
かくしてそれまで良好だった材料メーカーと組み立てメーカーの関係が崩れることになる。樹脂の価格にそれが反映されるようになったのは20年ほど前からである。転職を経験してみて高分子材料の価格が単に使用量だけで決まっていない複雑な背景があることに気がついた。
一方でコモディティー化した材料は国内材料メーカーにとってお荷物商品となりその淘汰が進んだ。これをグローバル化の側面だけで考えていると国内材料メーカーは、将来の存続が難しいと思っている。
企業の成り立ちは、時代の状況とその国の政治や企業間の関係にも影響を受け、国家ごとに特徴がある。中国や台湾で仕事をしてきてそのように感じた。そしてこれが樹脂の価格にも影響を受けるのだ。
長くなるので具体例を示し、樹脂について組み立てメーカーはその調達戦略を変更する必要があることに気がついてもらいたい。
一定量調達する必要がある時に樹脂を内製化したり、その調達先との関係について従来と異なる視点で見直しを行うなどの少し大胆な戦略を選ぶ必要がある。
組み立てメーカーが樹脂を内製化できるわけがない、と材料メーカーは見下しているとオイルリファイナリーからバイオマスリファイナリーに変化している流れに押し流される可能性がある。
オイルリファイナリの例となるが、フィルム成形可能なPPSは、2000円/kg以上の価格で国内では取引されている。中国では10年前これが1000-1500円/kg程度だったが、何故か最近は2000円/kgという価格を提示してくる。
PPSは高く見積もっても月tベースであれば600円前後でも中国では利益が出る樹脂と過去に聴いていた。これ以上はここで書かないが、PPS部品を国内で製造していては人件費以外の要素も加わり中国メーカーと競争力が無くなってゆくことは明らかである。
本日の内容が分かりにくい方は、弊社へ問い合わせていただきたい。やや刺激が強い内容となるのでここでは書けない。ただし、機密事項ではなく今世界で起き始めた変化でもある。
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