2021.07/20 色々なことが理解されていない五輪
昨日今回の東京五輪・パラリンピックで最高位のトップスポンサーを務めるトヨタ自動車は、五輪に関するテレビCMを国内では放送しない方針を明らかにした。
その理由は表題であり、具体的には述べられていないが、昨日というタイミングを考慮すれば、武藤事務総長の知らなかったから続投する発言が引き金になったのではないかと当方は推測する。
知らなかった、などという言い訳謝罪は通用しないのに、さらに下された判断が続投である。もうすぐ開幕するが、昨日書いたように今回の五輪の関係者は、武藤事務総長以下日本国民の心を理解されていない人ばかりである。
さらに、月曜日に加藤内閣官房長官は武藤事務総長の判断に疑問を持っていると明確に表現したが、東京オリンピックでありながら東京の首長は未だ黙認したままである。
開催も目前だが、五輪関係者に今一度五輪憲章の理解と日本国民の総意をくみ取ることをアドバイスしたい。五輪はいわゆるオリンピック貴族と呼ばれる一部の人間のためだけではないのだ。
トヨタ自動車の社長はパワハラ騒動が起きたときにすぐに遺族に謝罪したばかりか、判決が出た後も改めて遺族に謝罪している。異例の2回も謝罪したのである。企業のトップとはこのような心のある姿勢を示すべきで、そのトヨタが今回の声明を出した意味は重大である。
今回の五輪のような状態の仕事を引き受けたときに責任者はどのように判断をすればよいのか理解していない人が多い。この時、何もしないのも一つの方策、というドラッカーのアドバイスがあるが、今回の問題ではそれでダメなのだ。
当方が半導体無端ベルトの開発を製品化まであと半年という状況で、コンパウンド工場を自前で立ち上げた理由は、周囲にできて当たり前の状態でありながら、科学的に状況を判断すると絶対に失敗することを当方だけが理解できたからだ(通常1年以上かかるコンパウンド工場を半年で立ち上げる、といっても理解されないばかりか、他の方策を考えろと言われるのが関の山だ)。
ゆえに当方は自分の業務をコンパウンド改良に焦点を絞り、プロジェクトのマネジメントを部下の課長に任せ、10%以下の歩留まりを100%にできるコンパウンド開発と工場立ち上げに土日を返上して専念したのである。その結果、無事製品化に間に合ったが、当方の仕事は、事前に覚悟をしていたように評価されない隠れた仕事に終わった。
今回の五輪は、無観客と決まった時点で満足な運営は難しくなった。満足な運営は難しくなったが、五輪憲章の追求は、まだ100%の実現が可能な唯一の仕事である。武藤事務総長は先日この決断をすべきだった。
また、高谷スポークスマン(注)は、昨日続投を改めて強調していたが、おそらくこの人の頭には開会式を盛大にやることしかないのだろう。彼も日本の状況を理解できていない人物であり、今一番大切なことは理想を追求することなのだ。いざとなったら開会式は行進だけでもよいはずである。当方ならそのような決断を下す。
不完全な開会式となっても理想を追求する姿勢を示すべきだと思っていたら、夜遅く小山田圭吾辞任のニュースが報.じられた。時間が無くて何もできない状態でも、リーダーは何かできるのである。それがうまく機能したのだろう。.
最後の砦、組織委員会名誉会長は元キャノン社長御手洗氏である。良い仕事をされたと思う。ダメな組織委員会の重しになっていた。
(注)組織委員会のメンバーがどのような思いで仕事をされているかは、この人物の発言から垣間見える。オリンピック貴族の一員と疑われるような発言が多い。例えば今回のCM打ち切りに対応した発言では、本来組織委員会としてまずスポンサー企業に謝罪しなければいけないところを、スポンサーのご苦労と表現している。さらに自分たちは支援していただいている、という表現まで飛び出している。ここでは、感謝は当たり前であり、組織委員会の運営のまずさについて謝罪の心をまず表現に出すべきである。毎度の発言がオリンピックは組織委員会はじめオリンピック貴族のためであり、スポンサーはそれに協力すべき、という姿勢になっている。どれだけの税金が投入されているのか、組織委員会の方々には改めて投じられた金額を見直していただきたい。
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