2021.09/18 射出成形用PET樹脂開発の勘所
押出成形あるいはブロー成形にしか用いることができなかったPET樹脂を射出成形用に改質する方法はそれほど難しくない。動的粘度の温度分散をPCと同じように揃えてやるだけで良い。
ただし、そのようにして良好な射出成形体が得られる粘度曲線を示す樹脂に変性できたとしても、成形体の物性が問題となる。すなわち、靭性が低く割れやすかったり、結晶化せずゴムのようにふにゃふにゃな成形体しか得られないことがある。
この中間の靭性とそこそこの弾性を備えた射出成形体が得られるようなコンパウンドを設計するには高度な配合技術を要求される。
すでに特許出願されている技術は、皆それを公開しているので、アカデミアで研究用に射出成形する場合にはそちらを見れば容易となる。また、いくつかの特許が年金の支払いが無いために死んでおり、それを事業に活用することができる。
当方は山形大学の発明による剪断混練技術を活用した配合を参考にしたが、特許に従ってコンパウンドを製造してもその成形体は弾性率が低く、実用性が無かった。また成形条件を変更すると、弾性率を上げることができるが、靭性が下がる問題が発生した。
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そこで、タグチメソッドよりも迅速にできるデータ駆動の手法で配合設計を行い、新たな処方を見出した。その処方では、弾性率や靭性が目標を満たしただけでなく、難燃剤を添加しなくてもUL94ーV2に合格する難燃性コンパウンドができた。
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