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2021.10/14 移動度と固定度

現在の音階ドレミファソラシドを決めたのは音楽の父バッハである、と言われている。バッハより前にも音階は存在したらしいが、ピアノの鍵盤の並びを平均律としてチューニングし、様々なピアノ曲集はじめ現代にもその音楽表現が「鼻から牛乳—」として伝わるような「トッカータとフーガ」の衝撃的な出だしを作曲している。


ニュートンと同時代を生きた人物であり、マッハはニュートンを非科学的と断じているので、ちょうど科学が生まれる直前17世紀末から18世紀初めに活躍している。


ニュートン力学は高校生で学ぶが、バッハのドレミファソラシドは小学校で平均律による固定度と移動度を学ぶ。固定度は「ハニホヘトイロハ」と呼び、ハ長調やヘ長調など、かなり深いところまで学ぶ。


ギターを弾き始めて感じたのは、学習指導要領のアンバランスである。中学校でもう少し体系的に指導すればよいところをなし崩し的に知識を詰め込むので音楽の体系を誤って覚えてしまうことになる。


当方は固定度と移動度を単純にドの位置が変わるだけ、として身に着けていた。しかし、ギターを練習し初めて気がついたのが、調を変更すると曲のニュアンスがわずかに変わるのである。


ギターのチューニングがおかしいのではない。移動度でドレミファソラシドを弾いていただければ、その微妙な音の響きの違いに気がつく。ドレミファソラシドと思って聞いてしまうとその違和感に気がつかないが、音の流れとして捉えると波長の並びの微妙な違いに気がつく。


絶対音階の身についている人ならば、小学校の時から違和感があったかもしれない。「全全半全全全半」は、ドレミファソラシドの各音の間隔を表現しているが、これは平均律を前提として省略した表現である。


平均律ではなく純正律でラの音を示せば440Hzの振動となる。ギターでチューニングする時最初に440Hzの基準音叉を用いて5弦をチューニングし、他の弦は、この5弦を中心にしてチューニングしてゆく。今はチューニングメーターがあるので簡単だが昔は大変だった。


一つの曲で転調が効果的に聞こえるのは、音楽の流れの中でスケールの変化をとらえていることとも関係していると気がついたが、このようなことを小学校から体系的に指導すべきと思う。


例えばジョーパスは、枯葉をト長調(Gmajar)で演奏しているが、一般に枯葉はB♭majarで演奏されている。ここに気がつくかどうかで、彼の演奏のからくりを理解できるかどうかが変わる。彼の「枯葉」を昔聞いて「ジョー・パス」という名前を知ったが、このあたりの強い感動を引き出すために調を変えていることが大きいと思っている。

カテゴリー : 一般

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