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2021.11/04 音楽と科学

バッハが平均律を発明したのは科学誕生の直前だった。バッハの平均律により現代音楽の音階が決められた話を以前活動報告に書いている。最近新しい音楽としてコンピューターで人が歌えないような、あるいは歌いにくいような音階の曲が注目を集めている。


このような展開は、科学がコンピューターの登場によりシミュレーション技術を発展させた流れとよく似ている。シミュレーションにより科学の問題を解いていったように、コンピューターにより新しい歌唱の世界を創り出した。


コンピューターの発声による歌ではあるが、それをカラオケで人間が歌うことも流行しているようだ。歌いにくい歌をわざわざ歌う、という興味を持つ人がいるのも驚くべきことだが、承認欲求と言うものがそれを促しているのかもしれない。SNSでそれを公開している。


マテリアルインフォマティクスでは、AIを使ってデータマイニングし、その結果をシミュレーションや実験に展開することが行われている。


歌いにくい曲をわざわざ歌おうとしているように、このマテリアルインフォマティクスのプロセスをAIではなく人間がやる、という発想が出てきても良い、と考えたら、当方は社会に出てからそのようなデータマイニングをして研究開発をしてきたことに気がついた。


昔はAIが無かったので多変量解析などを行ってもその結果を自分の頭で処理しなければいけなかった。その経験から言えることだが、マテリアルインフォマティクスでAIを使うよりも自分の頭で考えた方が面白いアイデアが浮かぶ。


例えば、電気粘性流体の耐久性問題を多変量解析で解いているが、同僚は科学により否定証明を行い、解決できない、と結論を出していた。AIに任せて科学的に解くときには否定証明の存在に気を付ける必要がある。


音楽と科学の関係を考えていて、マテリアルインフォマティクスに飛んでしまったが、音楽を単なる芸術の一分野と考えるのではなく、人間の営みの一つとして技術と同じまな板に載せると面白い世界が広がってくる。

カテゴリー : 一般

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