2021.12/06 高分子材料のツボ(17)
高分子材料について組み紐を用いて説明しているが、混練プロセスを考える時にもこのモデルは便利である。高分子材料を混練するときに混練温度をどのように設定するのかは、良好なストランドを引くために重要である。
吐出された樹脂をストランドとして押出しペレット化(ペレタイズ)するプロセス以外に吐出された樹脂をそのままペレットとするプロセスもあるが、ここではストランドとして押し出すプロセスを考えてみる。
混練するときに多くは高分子のTmを基に混練温度が決められるそうで、この温度よりも低い温度で混練すると分子が断裂するので好ましくない、とよく言われている。
当方は、この考え方は現象をよく見ていない人の考え方だと思う。分子の断裂よりも混練機のトルクオーバーを心配しなくてはいけない。しかし、分子の断裂や混練機のトルクオーバーを起こさず、Tm以下の温度でどのように混練するのかは、ここで明確に説明しない。
それは組み紐モデルを眺めておれば気がつくことだからだ。もしアイデアを思い浮かばないならば弊社にご相談いただきたいが、Tm以下で混練してみるとTm付近の混練物とはレオロジー特性の異なるコンパウンドが得られびっくりする。
高分子材料の混練については分配混合と分散混合で説明されているが、40年以上前には溶融高分子に着眼した考察が行われていた。少なくともゴムの混練ではこの視点であり、その時Tm以下でも高分子は流動する前提があった。
乱れた組み紐を眺めていると今にも流動しそうに見えてくる。また、溶融温度以下では乱れたまま混練される姿を想像できる。退職してからこの10年も様々な高分子をコンパウンディングしてきたが、Tm以上の温度で混練した経験は無い。
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