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2021.12/07 高分子の密度

高分子材料の成形体密度は、金属の成形体密度に比較してばらつきが大きい。これは高分子材料のツボで説明したように部分自由体積の影響であるが、この密度のばらつきの上限と下限を知る方法があるのか実験した経験がある。


配合処方と射出成形条件を一定にして成形体を作ると、密度のばらつきは一定の範囲に入るので、上限と下限を決めることができそうに見える。


ところがコンパウンドのロットが変わると、この上限と下限が狭くなったり広がったりするケースがある。PC/ABSのような多成分のポリマーアロイでこうした現象を観察することができる。


すなわち、同一二軸混練機で同一条件により混練していても原材料が異なるロットを用いると密度のばらつきが影響を受けるということだ。密度のばらつきが影響を受ければ、密度と相関するその他の物性ばらつきも影響を受ける。


例えば、弾性率や誘電率、屈折率などもそのばらつきに密度の影響が現れる。その結果、例えばコンパウンドメーカーが試作段階でコンパウンドの仕様として成形体密度を決めていたならば、ロットアウトとなる場合が出てくる。


ここまで説明すると数年前あるコンパウンドメーカーが仕様書を捏造していた問題を思い出す人がいるかもしれない。そしてその問題では自動車メーカーが一斉に社内の品質検査で問題が無かった、と声明を出す不可思議なことが起きている。ここではこれ以上書かない。もし気になられた方は弊社にご相談ください。

カテゴリー : 一般 高分子

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