2021.12/15 学歴フィルター
インターネットで炎上しやすい話題として学歴フィルターがある。まず結論から書くが、「もし、企業が学歴により新卒受験者を差別していたなら、その企業の将来性は暗い」と思っているし、それなりの企業経営者及び企業幹部で同様の見解の人は多い。これから就活をされる学生に、ネットの無責任情報に惑わされるな、と伝えたい。
30年以上前になるが、当方が初めて採用面接を行ったときに人事部採用担当から学校名を受験者に問わないようにしていただきたい、と指導を受けている。そして手渡されたエントリーシートの学歴欄は黒く塗りつぶされていた。すなわちすでに学歴フィルターは廃止されていた。
もっとも当方の転職した写真会社は業界2位、別の事業でも3位以下の企業なので、例えば日本の偏差値トップ大学東京大学の優秀な学生はまず受験に来ない。他の高偏差値大学でも同様で、そのトップクラスは大抵は業界1位の企業を受験する。
だから学歴フィルターを設けると、良い人材を逃がすリスクが高くなる。どこの大学でもトップクラスの人材は、例えその大学の偏差値が低くても見どころのある人材がいる。
ゆえに偏差値の低い大学の受験者であっても見どころのある人材は採用試験を通過している。また、大学の偏差値と生涯年収の相関が無くなって久しいが、採用試験結果と大学の偏差値との相関が消失している企業も多いはずだ。しかし、後者は事情があって公開されない。
偏差値の低い大学出身でも見どころのある人材は採用後活躍し、事業に貢献している例が多い。逆に高偏差値大学出身でも企業で活躍できないだけでなく、逆にお荷物となる人は多い。
当方の経験でも、高偏差値大学大学院出身者で教授に頼まれたという理由で人事部に頭を下げて無理に無理を重ねて採用しても、長いサラリーマン生活では企業と人材のミスマッチのため、それなりの結果である。
おそらく日本の業界トップ一流企業でも、高偏差値大学出身者という理由より、その人物の能力あるいは企業と人材のマッチングが高いから採用しているのだろうと思う。高偏差値大学出身者だから企業へ多大な貢献をしてくれる、と盲目的に信じている経営者あるいは企業幹部はいないだろう。
故ドラッカーはその著書の中で「しばしば優秀な人が間違った問題を正しく解いて成果をあげられない」、と嘆いていたが、なまじ優秀な人よりも誠実真摯で素直な人材の方が正しい問題を周囲との協調により探し出してくれる。
経営者や企業幹部にとってはこのような人材の方がありがたいはずで、これは偏差値とは関係ないファクターである。もう同一世代の50%前後が高学歴化した日本において、学歴フィルターを論じることが時代遅れのように思われる。
もし、就職活動に不安な若い人がいたならば、弊社にご相談いただいても構わない。学歴フィルターなどと言う幻影に惑わされることなく、自分の強みを磨くことを若い人は心がけていただきたい。常に人間としての成長こそ大切であり、弊社はそれを応援したい。
カテゴリー : 一般
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