2022.01/30 高分子材料の問題解決
ブリードアウトにケミカルアタック、想定外の劣化など開発段階でロバスト設計を行ったにもかかわらず、高分子材料はしばしば市場で問題を発生する。
厄介なのは、多くの場合にコンパウンド供給メーカーと成形メーカーとが異なる点である。どちらの問題なのか明確にする必要がある。
ところが、組み立てだけ行っているメーカーにとって、これは頭の痛い問題である。組み立てメーカーにも品質検査の必要性から材料担当が配置されているが、その担当者が学会活動を行っているケースは稀だろう。
高分子材料については未だに新しい現象について学会で報告されたりする。ところが最近問題に感じているのは、発表者が市場の様子をしらないので、研究で見出された現象が実務的に重要な現象であると気がついていない点である。
もっとも学会の目的は科学の発展のため、と考えておられる研究者が多いので、それが問題となっていないし、それを問題にしても笑われるだけかもしれない。
しかし、学会活動の目的の一つに人類への貢献がある以上、本来このような日常の問題についても議論すべきだと当方は考えている。しかし、それが難しいことなのでこうしてそれを補う活動を起業して行っている。
すなわち日常の材料に関する問題を高度な視点から根本的に解決するために当方は活動している。このような活動も行っている理由は、複写機の外装材で起きた問題の原因について某コンパウンドメーカーのCTOと議論した苦い経験があるからだ。
すなわち、状況証拠の数々がコンパウンド起因であることを示し、さらにコンパウンドそのものもスの入ったロットが混ざっていたりして、そのロットで市場問題が起きていても、CTOは無関係を主張していた。
このCTOは高分子技術には詳しいが大変不誠実な人でコンパウンドに問題があると気がついていても、今の科学では完璧にそれを証明することができないことを知っているので無関係を主張していたのだ。
当方はそれを見抜いたのだが、科学的に完璧に証明できない以上、追及が難しいと折れなければいけなかった(注)。ただし、再発を防がなければいけないので、ロットばらつきの是正だけでもCTOに納得していただいた。
コンパウンドメーカーのこのような不誠実な対応が存在するので、当方の起業の動機になっているが、中国ナノポリスに招聘されたときに、指導しているコンパウンドメーカーの総経理には市場問題について誠実真摯に対応することを求めている。
(注)ビジネスではこのような場合に折れた方が負けになる、という人がいるが、ドラッカーは、ビジネス交渉こそ誠実真摯に行うべきことを説いている。
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