2022.02/09 熱分析
1980年代まで熱分析装置は高分子材料を開発するときに必須であり、分析機器メーカーの売れ筋商品だった。しかし、1990年代にはいると、熱分析装置の開発を終了したメーカーや商品としてカタログ掲載をやめるところまで現れた。
当方は高純度SiC開発において、前駆体の品質管理用に2000℃まで1分で昇温可能な熱重量分析装置を開発している。このとき、共同開発したメーカーは、もう熱重量分析装置や熱膨張計など一部の分析装置の販売を終了している。
高分子材料を扱っている企業には1台くらい熱分析装置はあると思うが、ホコリをかぶっているところもあるのかもしれない。驚いたのは化学系の大学で熱分析を詳しく講義しない大学も現れたことだ。
アカデミアにおいて高分子材料の分析に対する考え方がどのようであるのか知らないが、実務においてこれほど簡易に分析情報を与えてくれる装置はない。
例えば熱重量分析(TGA)を行えば、コンパウンドの組成の問題に関する情報が得られる。実務ではコンパウンドの組成がおおよそわかっているので、重量減少曲線に現れた情報を合理的に説明できるかどうか検討すればよい。
あるいは、成形体の異なる位置からサンプリングした粉の重量減少曲線が一致するかどうか調べるだけでもコンパウンドの問題について重要な情報を知ることができる。
TGAには恒温測定と定速昇温測定があり、それぞれ目的が異なるが、後者は他の熱分析と昇温速度を揃えて測定すると、高分子材料について立体的な情報整理が可能となる。
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