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2022.03/02 問題解決の落とし穴

「何が問題か」という問いは、有名な故ドラッカーの言葉だが、彼は正しい問題を見出せば、それで問題解決の80%が完了する、と述べていた。


何か問題が発生した時に目の前の問題を安直に解く人がいる。間違った問題の正しい答えほど意味のないものはない、もドラッカーの言葉だ。


目の前の問題がいつも正しい問題とは限らない。目の前の問題を引き起こしている原因あるいは他の見えていない問題が真の解決すべき問題かもしれないのだ。


科学の問題でもしばしばこのようなことが起こる。界面科学が関わる現象において、界面活性剤を用いて解決しなければいけない問題は多い。


界面活性剤についてその特性はHLB値で表現される、と教科書に書かれている。そこで、HLB値の異なる界面活性剤を試してみて問題解決をはかって、目的を達成できない問題が発生する。


このとき、「さまざまなHLB値の界面活性剤を用いても問題解決できない」という問題を解こうとする科学者がいる。恐らく、彼はきめ細かく様々なHLB値の界面活性剤を集めて実験を行い、この証明に成功するだろう。


科学の研究であれば、現象の否定証明を行い論文を書けばそれで終わるが、技術者は、問題解決して人類に役立つ技術を創りださなければいけない。


彼は恐らくHLB値にとらわれず、世の中に存在するあらゆる界面活性剤を集めて試してみて、何とか機能する界面活性剤を見出す努力をする。


試行錯誤で泥臭く実験を進めても良いが、今の時代はコンピュータを利用できるので試行錯誤を効率よく実施可能だ。


30年以上前、電気粘性流体の耐久性問題でこのような出来事があった。ドラッカーが述べていたように優秀な人たちが否定証明を行い成果を出せなかった。


問題解決では、優秀かどうかよりも問題に対して誠実真摯に向き合うことができるかどうかが重要である。イムレラカトシュは科学の問題の証明で完璧にできるのは否定証明だけである、と警鐘を鳴らしている。とかく科学者は完璧さを求めることを好む。

カテゴリー : 一般

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