2022.03/17 混練技術の難しさ
高分子の混練技術の難しさは、混練されたコンパウンドがどのような状態になれば完成したと言えるのか不明確だからである。そして不明確であることを理解していない技術者が多いのも問題である。
高性能加硫ゴムの混練では、バンバリーとロールが未だに用いられているが、この理由を理解している技術者も少ない。
そもそも二軸混練機があれば高分子の混練ができると安直に考えている人が多い。顔料の分散程度ならば、一軸混練機でもなんとかなるが、高性能のコンパウンドを混練したいならば、プロセシングの設計から始めなければいけない。
この時、そもそもプロセシングの設計とは何ぞや、と質問していては駄目である。ゴールである成形体の高次構造設計から始まり、それを実現するためのプロセスを設計することなのだが、このやり方は科学的に一つと決まっていない。
恐らく技術者の数だけその方法はあるのだろう。問題はそれが分からない、あるいは意識していない技術者が多いことだ。15年以上前にPPS無端半導体ベルトを担当した時に頭ごなしに当方の見解を否定されたことがある。
科学的に何が正しい、と一義に決められない分野では、他の技術者の見解を大切にするのが正しい技術者の姿勢である、という理由で、その方は技術者ではなかった可能性が高い。
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