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2022.03/25 混練プロセス

専門の話になるが、高分子材料は成形されて機能が発揮されるが、その時必ず成形前に添加剤が混合される。高分子合成時に必要な添加剤を加える方法もあるが多くは合成後の高分子に必要な添加剤が混合されている。


ラテックスのような低粘度の材料の処理プロセスでは溶融せずに高速攪拌可能だが、多くは高温度で一度高分子を溶融させて添加剤と混合する。


この時、練りも同時に行うと高分子の物性は改良される。練りとは、高分子1本1本の絡み合いを進めるプロセスである。加硫ゴムではこの1本1本の高分子の絡み合いが十分に行われない場合に、力学物性が極端に悪くなるので、ゴム材料を扱う技術者は練りの重要性を理解している。


しかし、圧力をかけて固める射出成形では、この練りの効果は表れにくい。練りの効果が全く現れないのではなく、樹脂材料技術者が気がつかないケースが多い。


ある射出成形技術を研究されているアカデミアの先生に研究の目標を尋ねたところ、どのようなコンパウンドでも良好な射出成形体を得る技術を確立すること、と答えられた。


しかし射出成形技術においてもコンパウンドの性能が極端に低ければどうにもならないケースは存在する。


高性能加硫ゴム材料を扱っている技術者は皆コンパウンドの混練プロセスの重要性を理解している。加硫ゴムの押出成形では、コンパウンド性能が成形体にそのまま表れるそうだ。これは樹脂の押出成形も同様である。


15年以上前になるが、半導体無端ベルトの押出成形を担当することになって自力でコンパウンド工場を半年で立ち上げた経験があることをこの欄で以前書いたが、睡眠時間を4時間以下に削って過重労働をしなければいけなかったのは、コンパウンド供給会社の技術者が混練プロセスの重要性を知らなかったからだ。


カテゴリー : 高分子

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