2022.05/12 アーレニウス・プロットによる寿命予測
反応速度論では、速度論という学問の目標を明確に反応機構の推定が目的である、と説明している教科書がある。そこでは、衝突因子とアーレニウス式の関係を説明しつつ概念の拡張をする場合の注意を指摘している。
蛇足になるが、アーレニウス式による寿命予測に限らず高分子科学では、科学の厳密な形式知と呼べない知が形式知として扱われたりしている。
例えば結晶成長の速度論においてアブラミ式ですべてを説明していたり、フローリー・ハギンズ理論のχをはじめとした研究論文の中に、高分子材料のプロセシングを開発する技術者の自由な発想を妨げる記述がみられたりする。
アーレニウス式による寿命予測では、よりどころとなる速度論という学問のこのような問題だけでなく、その体系の類似性から式を展開して寿命予測法として使われている問題がある。
それが実際の製品寿命をうまく説明できた実績があったので、現在寿命予測法として広く使われるようになった。
ゆえにアーレニウス式で寿命予測を行う場合には、高分子材料あるいは製品の機能の劣化が予測式に従い進行しているのか市場で調査する活動が欠かせない。
市場における劣化進行速度が実験室で予想された速度式に従っていることが確認されて初めて寿命予測式を使用することができる。
カテゴリー : 高分子
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