2022.05/13 エンジンマウント
自動車のEV化のスピードが速くなった。自動車エンジンがモーターに変化するので事業が消えてしまう産業界は大変である。例えばエンジンマウントは1980年前後から大きく進化し、高級車には電子デバイス化された製品が搭載されている。
電気粘性流体封入マウントも研究されたがコストの問題で不採用となり、電気粘性流体そのものも事業として育っていない。
エンジンを支える部品が電子デバイスに進化した原因は、高速走行時とアイドリング時でエンジンから発生する振動周波数が異なるためで、ゴム単体ではその性能が不満足だったからである。
すなわち、エンジンをただ支える部品でもエンジンにデバイスとしてエンジンに合わせた設計が必要だった。動力がモーターに代わることで複雑な振動モードの問題が無くなり、これまでの高性能マウントは不要となった。
そのため早々と防振ゴム事業を売却した企業も現れた。ここで不思議に思うのは、エンジンマウントを設計できるだけの技術を有していたならそれを他の事業なりに発展できないのか、という疑問である。
また、EV車の開発は、現在のところ従来の自動車の概念で進められているが、コストダウンや機能の設計見直しで防振技術あるいは防振デバイスが重要になる可能性が考えられる。
自動車の機能として乗り心地は重要であり、自動車の足回りの設計は未だに高い技術が要求される。自動車エンジンが無くなることで自動車自身の発生する振動が無くなった、と思われているが、これは従来の設計においての現象である。
また、人間の欲求には限界が無く、現在の技術で作られたEVが普及した後、より乗り心地の良いEVを求める可能性が高い。現在はエンジン自動車が比較対象となっているが、すべての自動車がEV化されたときには、EVが比較になる。
動的商品において、音や振動を0とする技術は未完成である。40年前と違って未来技術を研究する組織を廃止した企業は多いが、再度自動車の未来を研究する組織を復活する必要がある。弊社にご相談ください。
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