2022.05/27 基本機能
表題の言葉は、タグチメソッドで躓く部分である。故田口先生に3年間直接ご指導を頂いたが、この基本機能の考え方、「基本機能とは何か」の部分でよくぶつかった。
最初は喧々諤々の議論を行い、なかなか技術開発が進まなかったが、この言葉が田口先生の暗黙知であることに気がついてから、当方から質問をすることは無くなった。
当方以外に気がつかれている方がいるかもしれないが、タグチメソッドの教科書は、統計ではないと言いつつ数学的説明は統計と同様であるという矛盾を抱えており、あたかもジョー・パスの教則本のようでもある。
ジョーパスの教則本については、ジョーパス著と書かれていてもゴーストライターの手によるのではないかと、想像している。
彼の教則ビデオの説明と著書の意味するところが一致していないと思われる部分があるためである。また彼の著書の楽譜を何度も実際にギター練習しなければ理解が進まないという難解さもそれが原因と思われる。
タグチメソッドの教則本も同様で、技術のメソッドでありながら、それを科学で説明しようとしているところに無理がある。
信号因子を用いた動特性によるSN比の説明は科学的にうまくいっても、望目特性などのSN比についてはそれが難しい。
タグチメソッドで実験に失敗するのは基本機能を正しく選んでいないからだ、というのは田口先生の口癖であったが、基本機能の選択は技術者の責任と述べられていた点に注意する必要がある。
基本機能とは何か、を形式知で理解しようとしても、難しいと考えた方が良い。技術者の暗黙知を経験知に展開する必要がある。あたかもジョーパスの演奏を五線譜に展開する作業のようでもある。
カテゴリー : 一般
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