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2022.07/23 AIに対する誤解

AIの応用が進んでいる。その結果AIに対する誤解について笑えない状況になってきた。まず、AIで重要なポイントは、それが科学のロジックを用いたプログラムにより動作している、という点だ。


さらに、そのロジックを支えるデータは人間が表現したものだ、という事実である。だから科学の延長線上でAIの技術開発が行われ続けるならば、人間のような制御できない曖昧性や矛盾した判断、また時として周囲が理解できない感情をAIが持つことは難しいにちがいない。


恋愛という現象を冷静に考えていただけば理解できるように、ベイズ統計でも予測つかないような行動をとるのが人間である。


このことから、新材料の開発された歴史を鑑みると、AIに材料設計をやらせて自由自在に新材料を創り出そうと目論んでも、期待通りの成果を見込めない分野は多いと思われる。


この一文をすんなり受け入れた人は、それはそれでAIに対して誤解を持っている。まだ、AIは人間のように自由にいろいろな材料を学習して材料設計できるレベルに無く、それが研究課題になっている。


ただし、結晶構造でその機能が決まるセラミックスであれば、AIの活用による材料設計はある程度まで有効となり一部成果が出ている。もっとも熟練技術者ならばAIを用いなくても同様の結果をシミュレーションで出せる。


ただし無機材料でもガラスになるとその機能性と組成及び材料の構造が非晶質であるためAIによる材料設計が期待通りに行かず技術者頼みとなる分野が残る。


同様の理由で、今のまま科学の形式知を重視してMIの研究を続けるならば、高分子材料についてAIを活用できる分野は限定的になる。


高分子材料は無機ガラスよりも難解な多成分系であり、さらに多分散系非晶質体である。また、その物性ばらつきの原因となる自由体積の存在もAIによる材料設計を困難にする原因となっている。


MIが騒がれるようになって10年経ったが、高分子材料で驚くような成果は出ていない。20世紀に開発されたOCTAは、それが高分子の形式知集大成として見たときに価値を発揮しているが、それで新材料を自由自在に創生することは、今のところ難しい。


例えばPPS/6PA/カーボンの配合系で半導体の動的部品を設計しようとしたときに、OCTAでは不可能と言う結果しか出せないし、この結果は科学的に正しい。いわゆる否定証明として成果を出せるだけである。


この配合系で成果を出したいならば、現代の科学では説明できないPPSと6PAの相溶現象を用いる必要がある。このようなアイデアはOCTAでシミュレーションしても出てこない。仮にAIにOCTAを実装してもAIは、この配合で動的部品を製造できません、と答えるだけだろう。


ただし、人間の柔軟な発想があればこれが可能となり、実際に15年前に柔軟な頭脳で発明された中間転写ベルトは品質問題も起こさず安定な生産が続いている。


材料設計において、その基本機能の選択が技術者に依存する限り、まだ、当分の間、人間の頭脳をAIは完全に超えることはできない。せいぜい特定の人物の猿真似程度のAIを創り出すのが関の山だろう。


今新しい高分子材料探索のためのMIを成功させたいなら、AIを使おうとしない方が良い。人間の頭とシミュレーション技術、データサイエンスの活用により、新材料創造を目指すべきだ。


人間の頭の問題は、怠惰な習慣に慣れると急激に劣化することである。この点はAIが勝る。一方常に危機に晒され続けると機能不全になる場合も出てくる。これもAIは強みになるかもしれない。


こうした人間の弱点を補えるところはAIの優れたところだが、科学で解決できない分野の問題については、まだ当分の間人間の頭脳の方が頼りになる。


ただし、そのために鍛える必要があり、弊社では幾つか研究開発必勝法プログラムを用意している。

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