2022.07/24 花王のパソコン革命(1)
表題は1980年頃にベストセラーとなった書籍の題名である。良くも悪くも世間にパソコンによるオフィス革命を起こす啓蒙に成功した本である。
著者名は忘れたが、花王のコンピュータ部門の部長が、組織の花王における地位向上のために書いたそうだ。当方はこの書籍のおかげでコンピューター普及推進プロジェクトメンバーに選ばれ、サブリーダーとともにこの部長と面会している。
当方の上司となるプロジェクトのサブリーダーは新入社員の時の指導社員で、1年間のテーマを3か月で仕上げたためにご迷惑をかけた人である。成果も出し、特許出願も行っていたのに当方は職場移動となり、新たなテーマに取り組むことになった。
新たな指導社員が美人だったことから成果のご褒美と陰口を言われたが、最初の指導社員が粘弾性モデルのシミュレーション結果を基に新入社員テーマを企画し、それと混練技術について毎朝3時間座学を提供(座学の終了とともに成果が出ている。)してくださったのに、彼女は新入社員テーマそのものを一緒に企画しましょう、という姿勢の人だったので毎日の仕事が大変だった。
その大変さについてはホスファゼン変性軟質ポリウレタンフォームの企画提案と実行、工場実験、始末書と展開した半年間として以前この欄で紹介している。ただし、ノー残業デーには二人だけのアルコールOJTで浦島太郎の気分だった。
サラリーマン生活で出会った人の中で最も優秀であり、仕事のスタイルについて影響を受けた指導社員の3か月間を含め新入社員の2年間は、始末書の問題以外は楽しかった思い出として残っている。コンピューター普及推進委員に抜擢されたのもこの時の思い出の一つだ。
コンピューター普及推進プロジェクトのリーダーは美人指導社員の上司であり、サブリーダーが最初の指導社員ということで、いびつな人間関係ではあったが、サブリーダーが十分に大人の人物だったので、このプロジェクトでもうまく当方をマネジメントしてくださった。
ただし、このプロジェクトメンバーでコンピュータを日常使用していたのは当方だけであり、サブリーダーは、粘弾性シミュレーションを当時先端の関数電卓で行っていた。
ただし、当方が日常使用していたコンピューターは、メンバーに抜擢される2か月前に職場導入を課長に提案したが、それほど有用ならば自分で購入しろと言われて、自腹で購入し独身寮の自分の部屋に設置し仕事に使用していたMZ80Kだった。
最初は1か月分の給与から足が出る程度の出費だったのだが、プロジェクトのメンバーに抜擢されてからは、カローラ1台分の出費まで膨らむ大変な目に合っている。
プロジェクトでリーダーに何か提案すると「独身寮のマイコンでやってみたら」と言われ、プリンターやFDの購入だけでなく高価なデジタイザーまで当方の私費で購入することになった。
今パワハラなど各種ハラスメントが問題になっているが、管理職の無知が鞭となり、部下に私費で仕事を強要するようなひどいことが当時行われていた。
素直に従っている当方が馬鹿だと美人指導社員からは注意を受けていたが、工場実験の試作で始末書を書かされた恐怖の経験の後では従うしかなかった。
花王のパソコン革命という本のおかげで、OAを行うために当時カローラ1台分の価格だったマイコン1セットを独身寮の自室に揃えることになった。初任給基礎額が10万5千円の時代の話である。
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