2022.09/06 ポリカーボネートの難燃性
電子機器の外装材に使用されるポリカーボネートは空気中で自己消火性を示すが、ポストコンシューマー材のリサイクルPCは可燃性となる。LOI値で19から20程度である。
原因をIRで調べると透明アクリル樹脂不純物が検出されたりする。ただ10%未満であり、難燃性低下をうまく説明できない。
この難燃性低下をうまく説明できないが、BDPなどの難燃剤を添加すればLOIは21以上となるのでリサイクルPC系ポリマーアロイのクローズドリサイクルは容易と言われたりする。
ところが現実は簡単な話にならない。UL94-V2レベルであれば、リサイクル材に難燃剤を追加せずに材料設計する方法もあるが、UL94-5Vbレベルになると難燃性樹脂として再度設計しなおさなければいけない。
2000年ごろに、リサイクルしても難燃性が低下しない樹脂、という特許を見た記憶があるが、この技術発明はクローズドリサイクルが前提となるだろう。
他社製品のPC系樹脂が混入してくる場合には、UL94-5Vbレベルであれば再度設計しなおす必要がある。このような事情から、リサイクル分野では、高度な難燃性が保持される樹脂というのは特許発明になる可能性が今でもある。
例えば、それを想定した技術をすでに弊社は発明として公開している。審査請求をしなかったのは共同出願企業が再生樹脂事業者の戦略的判断からである。すなわち混練技術が重要な要素を占めているためである。
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