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2022.09/14 データサイエンスの事例

データサイエンスに関して無料セミナーを予定している。事例の大半は30年以上前のゴム会社時代の事例であるが、今でも色あせていない。


例えば、アクティブサスのケースとして用いるゴムからのブリードアウト物で電気粘性流体の増粘が起きた耐久性問題では、界面活性剤でこの問題を解決できない、という科学的に完璧な否定証明の報告書が1年かけた研究の末、発行された。


そして研究所で加硫ゴムについて最も詳しいという理由で、高純度SiCのJVを立ち上げたばかりの小生に、加硫剤などの添加剤が入っていないゴムを開発するよう命じられた。ゴムに詳しい方ならば、ゴム会社でこのようなテーマが立案されたことに驚くかもしれないが、実話である。


小生は、すぐに界面活性剤のカタログを集め、MZ80Kで主成分分析を行い、主成分得点まで求め、それらのデジタルデータをパラレルインターフェースを介してPC9801に転送した。


PC9801ではロータス123が稼働しており、それでグラフを作成して、界面活性剤の性質をHLBは、70%未満しか説明していないことを確認できた。


それだけではない。第一主成分と第二主成分の軸でプロットすると、界面活性剤がいくつかの群に分かれた。60数%の界面活性剤は第一主成分の軸の周りに集まったが、残りの30%以上の界面活性剤には、第一主成分の軸から離れた群に属する化合物が存在した。


おそらく第一主成分の軸はその寄与率が80%以上を示したHLB値だろうとみなし、この軸から離れた界面活性剤を中心に、300種類の界面活性剤を増粘し使い物にならない電気粘性流体に添加して一晩観察したところ、幾つかのサンプルで、粘度低下が起きていることを発見した。


すなわち、データサイエンスにより、1年かけた否定証明の結果を一晩でひっくり返す成果を出したのだ。無料セミナーでは特許に発表されたデータも交えもう少し詳しく説明する。


なお、データマイニングはかつて上司に命じられ自腹で購入したコンピューターシステムで行われた。大衆車1台分の給与をつぎ込んだシステムのため、独身時代は、必死でBASICだけでなくPascal、C, FORTH、アセンブラーなどを勉強している。


余談だがPC9801は、自主的に購入しているが、MZ80Kほど高くはなく、FDまでついて30万円ほどだった。ただ、プリンターとかプロッターはMZ80Kにつながれていたので、PC9801とMZ80Kはパラレルインターフェースで接続され、PC9801のデータをプリントする時にもMZ80Kを立ち上げねばならない不便があった。しかし、恐ろしいほどコンピュータの性能向上速度が速くMZ80Kのハードウェアーとしての資産価値は下がっていったが、ソフトウェアー資産が豊富にあったので、Windows95が発売されるまでMZ80Kは現役として活躍していた。計算時間はかかったが、8ビットコンピューターでもデータサイエンスができたのだ。ただし、小生のMZ80Kには8MHz駆動のZ80が搭載されていた改造品である。当時はハードウェアーの改造などが書籍として発売され、秋葉原には怪しげなプリント基板が多数発売されていた。プリント基板とチップをバラで購入し組み立てる面倒な作業が必要だったが、ハードウェアーの勉強ができた時代である。当方の時代は、モータリゼーション隆盛で車を走らせる若者がいた一方でコンピューターでソフトをいかに早く走らせるかに夢中になっていた若者がいたのである。「花王のパソコン革命」というベストセラーのおかげで両方の文化を享受することになった。


データサイエンスの入門として無料セミナーも準備しました。当方の実績を基にした事例セミナーなので専門外でも理解できます。40年以上前の実績だけでなく最近の事例も紹介します。

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カテゴリー : 一般 学会講習会情報 宣伝 電気/電子材料 高分子

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