2022.09/15 ポリカーボネート再生材の難燃性について
ポリカーボネートの難燃性は、分子量や変性剤、ポリマーアロイを形成する高分子材料の影響を受けて変化する。その結果LOIが21以下のポリカーボネートも存在する。
このあたりの研究報告例を読んだことが無い。ただし、樹脂や難燃剤メーカーの技術資料にはそのような報告が出てきたりする。
例えば、出光興産のシロキサン変性PCの場合には面白い変化が起きる。すなわち少量のシロキサン変性ではPCの難燃性を向上させる方向に機能するが、量が増加すると難燃性が下がるという。
すなわちポリシリケートによる変性量でLOIが変化し、ある変性比にピークを持つという変化である。これは、シリコーンオイルが可燃性(消防法で第4石油類のシリコーンオイルも存在する)であることを知っておれば納得できる。
シロキサン単位は燃焼すればシリカを生成するので難燃化に寄与してもよさそうだが、以前この欄でフェノール樹脂の難燃性について説明した理由と同様に可燃性ガスを燃焼時に生成する因子は難燃性を低下させる。
ここは科学的に説明しにくい部分も存在するので高分子の難燃化技術の難しい点だが、難燃性の用途に用いられていたPCの再生材に難燃性能が無くなっているのは、今年4月施行された法律を考えると困った問題である。
リサイクルされたPC材料には、再生樹脂を回収するプロセスで他の樹脂が混入するのは避けられない。これは日本の再生事業者の工場を見学すればすぐに理解できる。
中国で樹脂再生を行っている現場を10年以上前に見学したことがあるが、そこは想像を絶する現場だった。今も当時のような作業が行われているかどうか知らないが、日本ならば許可されない作業環境だった。
ただ、再生樹脂のコンタミの面では日本のプロセスよりも有利に思われた。人間の手作業で成形体がより分けられていたからである。
さて透明なPC再生材についてかつて分析したことがあり、そのとき何故かポリアクリロニトリルが混入していた。赤外吸収スペクトルで検出されるぐらいだから少なくとも5%は入っていただろうと思われる。その結果、再生PCのLOIは19以下だった。このあたりの話を含めて再生材の難燃化技術というセミナーを企画している。
カテゴリー : 一般
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