2022.09/18 ポリカーボネートの代わりにPPS
低価格カラーレーザープリンターには、ポリカーボネート(PC)製中間転写ベルトが用いられている。複写機部品として捉えたときに難燃性や靭性のバランスが良い樹脂だからである。高い難燃性と強度が要求される複写機外装材にもPC系ポリマーアロイが使用されている。
このPCよりもポリフェニレンスルフィド(PPS)は、難燃性が優れているが靭性ははるかに悪い。ゆえに中間転写ベルトのような動的部品に用いるには工夫が必要である。
その工夫として6ナイロン(6PA)を添加して靭性をあげることに成功したが、まさかその対策でパーコレーションの制御が難しくなり歩留まりが上がらないところまで前任者は考えていなかった。
すでに量産試作直前なので、配合処方を変えずに対策を考えてほしい、という前任者の難解な願望のため誰もがゴール実現不可能な仕事だと思っていた。パーコレーションの制御を難しくしている原因が6PAにあることは明らかだった。
これを科学的に考えていては答えが出ない。なぜならフローリー・ハギンズ理論があり、PPSと6PAは相溶しない組み合わせで必ず相分離して海島構造となり、カーボンのパーコレーションを複雑にする。
この問題をどのように解いたかは、今月と来月開催を予定しているパーコレーションを題材にしたPython のセミナーで解説しているのでご興味のあるかたは受講してください。テキスト不要であれば5000円である。
パーコレーション転移シミュレーションプログラムを作りながら学ぶPython入門セミナーの受講者を募集中です。
セミナーについてはこちら【有料】
pagetop