2022.09/21 DXの進行と技術者
DXが進行してゆく過程でモノの見方、価値観だけでなく、科学と非科学の境界も変化するだろう。40年前はデータサイエンスという手法は科学でもなく、技術者からも嫌われた。
多変量解析が、統計手法として新QC7つ道具に採用されたのは1970年代のことである。新QC7つ道具に取り入れられ、それを研修コースに採用していた企業の新入社員発表会で、多変量解析による成果発表をしたところ「大馬鹿もん」とCTOに叱られた。
せめて手法をうまく使ったところを褒めてほしかったのだが、実車データが無かった点を諫められた。現物データの重要性を厳しく指導された。大型コンピュータIBM3033を使用して多変量解析を行った40年以上前の出来事である。
30年ほど前でもデータサイエンスは科学的ではないという科学者がいた。しかし、当方はヒューリスティックな解を得る目的でデータサイエンス手法を実務に取り入れていた。これが災いして転職している。
ところが15年ほど前からアカデミアでマテリアルインフォマティクスというデータサイエンスを材料科学に導入する研究が行われ、学会でも堂々と発表されている。
DXにより、科学と非科学の境界が動き始めた。それより前にはイムレラカトシュは「方法の擁護」において、厳密な科学では否定証明だけである、と述べたように、科学における方法の曖昧性は指摘され始めていた。
科学の方法として議論の余地はあっても、技術の方法としてデータサイエンスはDX時代に技術者が身に着けておくべきスキルである。弊社はそのために主成分分析と重回帰分析のソフトを無料で公開している。
使うだけならば難しくない。ソフトウェアーを開発しようとすると、固有値の計算アルゴリズムに何を使うのかといった問題が出てくる。弊社のソフトウェアーはIBM社のソフトウェアーの計算結果が得られるようにそろえてある。
また、弊社ではPythonのプログラミングスキルを技術者に身に着けてもらおうと安価なセミナーを企画している。どのように使うのかイメージを明確にするためにテーマを絞って展開している。
今劣化寿命の問題とパーコレーションの問題のテーマについてセミナー参加者募集を行っている。また、企業での研修の教材も用意できますのでご相談ください。お見積りは弊社のセミナー参加費を目安に捉えてください。
小学校でもプログラミング教育が始まったのである。お父さん、お母さん技術者はPythonぐらい自由に使えなくてはいけない。独身技術者は、もう使えるのが常識である。
独身時代に東村山音頭で有名になった地域にあった恩多寮でMZ80Kを用いて多変量解析プログラムを開発した快感は今でも覚えている。IBM3033と同じことがカローラ一台分の価格(注)のコンピューターでできるようになった瞬間である。
(注)MZ80Kのキット以外に工人舎のドライブ、FDOSにPASCAl、FORTH、HuBASIC(ゲームのハドソンは昔言語開発もやっていた)、アセンブラー、第二精工舎のプリンターを揃えるとこの価格になった。FORTHは面白い言語だった。
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