2022.10/08 配合と物性とプロセス因子
「配合と物性の関係」についてご質問を頂いた。しかし、詳細は別途ご相談させていただきたい。なぜなら当方のコンサルティング内容にかかわるからである。
マテリアルインフォマティクス(MI)でAIを設計する時にもこのあたりの知見は重要であり、無料で話せる内容は限られる。
中国ナノポリスの研究所ではカオス混合装置が稼働している。ここで退職後カオス混合装置の効果を検討してきたのだが、当初考えていなかった現象も起きているので勉強になった。
早い話が、混練技術についてはまだまだ開発の余地があるということだ。特に二軸混練機の取り扱いについては注意が必要で、現在市販されているどのような二軸混練機を使用しても当方の発明したカオス混合装置が取り付けられていなければ、到達できないレベルが存在するということが分かった。
当方の執筆した混練の本にも少しそのようなことを書いているが、8年間実験してきてデータが蓄積された結果の結論である。
もちろんカオス混合装置が取り付けられていても、二軸混練機の混練条件が悪ければ、カオス混合装置内で十分な混練効果が得られないこともある。だからカオス混合装置が万能とは言わないが、カオス混合装置が取り付けられた二軸混練機では、取り付ける前より混練が進むのは確実である。
さて、配合と物性が1:1に対応していないことを先日紹介している。これは、配合成分の一次構造よりも高分子の高次構造のほうが物性への寄与率が高いためである。
また、配合と力学物性が1:1で対応しても電気特性が対応しないこともありうる。例えば、電子機器にPPS材料の適用が多くなったが、カオス混合の有無で配合と力学物性が1:1で対応するが、配合が同一でも電気特性が異なるPPSコンパウンドが存在する。
特に絶縁耐圧が大きく異なるので面白い。これは以前当方のセミナーでもナノポリスにおける成果としてデータを紹介しているが、カオス混合を行うと耐トラッキング性能が100V以上向上する。この向上効果は二軸混練機にも依存する。
なぜ二軸混練機に依存することが分かったのかは想像していただきたいが、カオス混合装置を取り付けなければ耐トラッキング特性が品質規格のボーダーラインとなるが(射出成形体の歩留まりに影響する)カオス混合装置を取り付けると品質が向上するので、射出成形体の歩留まりが上がる。本日はこれ以上書かない。
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