2022.10/15 AIに対する誤解
昔派手なワイアーアクションの「マトリックス」という映画に感動した。当時オブジェクト指向プログラミングの次の世代の概念であるエージェント指向が話題となっており、その雰囲気をうまく表現していたからだ。
エージェント指向でプログラミングされ、暴走したAIと電脳空間で人間が戦う表現にワイアーアクションが使われたわけだが、この映画のもう一つの工夫として人間とコンピューターとの対話があった。
残念ながら現代のAIはマトリックスに登場したAIのように自律していない。自律できない、といった方が適切だろう。現代のAIを教育するときにさえ人間の知恵の介添えが必要で自律的な学習はできない。
それができるという詐欺師まがいの学者がいるので困る。どのようなAIであっても人間がオブジェクト指向の言語を用いてプログラミングしている。データもアルゴリズムも人間が「作っている」のだ。
それでも学習が十分に完了したAIでは、新たなデータから特徴を見出し、あたかも人間のように判断を下すような芸を見せる(注)。
しかし、AIがデータを理解するためには、あらかじめ人間が組み立てたルールに従い、「ベクトル量」に変換して覚えさせる作業がそれを支えていることを理解できれば、AIを作成した人の身代わりで新たなデータに判断を下しているに過ぎないからくりに気がつくだろう。
(注)3年ほど前に放送された「AI美空ひばり」というNHKの番組では、一生懸命AIを創り出すからくりを見せていたが、これで現代のAIの本質に気がつかれた方はどれだけいるのだろうか。ちなみにAI美空ひばりの動き部分は、天童よしみのモーションキャプチャーデータをもとに創り出している。ここまで書けば人間の芸の一つ、という位置づけ表現をご理解いただけるのでは?
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