2022.10/19 DXの進展と材料開発(1)
デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展により、業務フローの改善が進行している。それは、マイコンの普及により1980年代に起きた「パソコン革命」よりも激しく、科学と非科学の境界までも見えなくした。
1980年代のデジタルイノベーションは、ワープロ「一太郎」や表計算ソフト「LOTUS123」の普及による職場のOA化に留まったが、今起きているDXは、マテリアルインフォマティクス(以下MI)にみられるように、アカデミアの科学観まで変革している。
すなわち、ビッグデータを用いたデータマイニングにより新たな知を見出そうとする活動は、まず仮説を設定し、その真偽を実験で確認する科学の方法と異なっている。
ドラム缶一杯のフグの卵巣を下関港から名古屋まで運び、テトロドトキシンの構造解析を行った研究では、専門外であっても1匹のフグに含まれる毒の量が微量ゆえに研究に必要な量を確保するためのドラム缶作業と納得できる。
ところが、AIを機械学習で鍛えるために使用されるデータ量について、そのロジックを知らないならばヤマカンに頼る研究と誤解されるかもしれない。
さらにその作業の結果、当たり前の知が得られたとなれば先人は大笑いするだろう。しかし、定型化された高分子の分類法も無く、それゆえ科学でサポートされた明確な体系も存在しない高分子材料では、MIにより得られた知が当たり前であっても、それは科学と異なる方法で科学と同様の結果が得られたという大切な証拠となる。しかし、企業の研究開発では、それが事業の利益に結びつかなければ意味が無い。
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