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2022.11/08 DXで変わる科学と非科学の境界

8ビットμCPUの登場により始まったデジタル革命の初期には、やがてナノテクノロジーに昇華する日本発のセラミックスフィーバーと呼ばれる材料科学イノベーションとして世界に伝播している。


この時話題となったのはセレンディピティーという能力である。犬も歩けば棒にあたる的な能力として新素材発明に必須と騒がれた。


アカデミアの研究者も含め、科学的に研究を進めていても新素材開発は難しい、と疑心暗鬼になり始めたのだ。同時期にアメリカではトランスサイエンスという言葉が生まれている。


日本では、ポリマーアロイを前駆体とする高純度SiC製造法がデータサイエンスを用いた配合設計により発明されている。そしてこの技術は事業化されて30年続き、現在は愛知県にあるセラミックス企業MARUWAで事業継承されている。


アルビントフラー「第三の波」がベストセラーとなる時代、情報通信分野で始まったDXはやがて現在の姿になったのだが、アカデミアでMIの研究が行われている現象を科学と非科学の境界の移動として当方は捉えている。


この方法は、AIを人間の頭脳に置き換えれば、科学誕生以前から人類が営んできた技術の方法と類似している。また、そこで使われる機械学習とは、大量のデータに潜む一定のルールなりパターンを見つけ出す、人間の作ったアルゴリズムでコンピューターに演算させているだけである。


仮説ではなくデータ駆動で結論を導き出すMIの手法は、試行錯誤と誤解されるかもしれないが、それと異なるのはデータ「サイエンス」が使われている点である。技術者は、見出された機能にロバストがあればこれを問題としないが、科学者は科学の方法として今後どのようにMIを位置づけるのだろうか。


ところで、過去データも含め教師データとしてAIに学習させるので、MIの方法は温故知新のような側面がある。AIの学習作業において熟練技術者を活用できれば、技術伝承手法として期待できるのではないか。


高分子材料はプロセスの履歴の影響を無視できず、未だ経験知や暗黙知を活用した開発方法が有効となっている。そのため、科学的に配合設計を行っても越えられない技術の壁を感じる若い技術者もいると思われる。


DXの進展でデータサイエンスの利用環境を無償で個人が容易に手に入れることができ、その使用方法も無償で公開されている。DXにより引き起こされたイノベーションは、データサイエンスの活用を促しMIを流行させたが、今後個人の配合設計スキルの格差を広げるように作用する。


さらに、MIは技術の伝承にAIを活用する道を開いたが、プロセス情報についてデータベースの整備という問題が放置されたままである。


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