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2022.11/12 高純度SiCとデータサイエンス(1)

高純度フェノール樹脂と高純度ポリエチルシリケートとの反応に有機酸を用いて前駆体を合成後、それを焼成して高純度SiCを製造するプロセスは、科学的発想法で考えて出てくるアイデアではない。


フローリー・ハギンズ理論で否定される組み合わせのポリマーアロイを合成しなくてはいけないからだ。フェノール樹脂と無機高分子であるポリエチルシリケートの組み合わせのχの値は大きい。


χが0ではないポリマーの混練には、相溶化剤が用いられるが、高純度化のためのポリマーアロイに高純度の添加剤は、コストアップとなるので用いたくない。


χが大きな2種のポリマーを均一に混練する方法として、カオス混合と高速剪断混練があるが、当時存在したのは低粘度の高速剪断技術だけだった。


この技術は、イソシアネートとポリエーテルポリオールとの反応で製造されるポリウレタンのリアクティブブレンド技術として知られていた。これは、低分子とオリゴマーとの反応でポリマーを製造する方法で、ポリマー同士の場合にどのようになるかは知られていなかった。


当方は、高純度SiCの発明の前に、このポリウレタンをホウ酸エステルで変性して難燃化する技術を研究しており、データサイエンスにより燃焼時にガラスを生成して高分子を難燃化する技術を開発していた。


この技術は、日本化学会年会や無機高分子研究会などで発表しているが、データサイエンスの研究について、ゴム会社の研究所では非科学的という理由で予稿集には記載していない。


しかし、当方はデータサイエンスの成果として1枚OHPのシートを作り学会で発表している。ところが学会でもデータサイエンスの成果については関心を持っていただけなかった。上司はしたり顔だったが、当方はその後機会あるたびにこの成果を発表している。その結果時代の変化を知ることができた。

カテゴリー : 一般

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