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2022.12/04 考える方法

DXの進展による変化へようやく世間も対応し始めた。大きな変化として学校教育にプログラミング教育が導入されたことである。


これはGAFAなどの台頭に日本がついていけていない状況でプログラミング教育の重要性に気がついたのだが、学校教育に非科学の教育が取り入れられたことに気がついていない人が多い。


戦後の学校教育は、科学を重視した「科学の教育」であり、大学の教職課程でもこの教育方法について学ぶ。ゆえに今教職についている先生はプログラミング教育の導入にかなり戸惑うはずである。


そしてDXによる変化の大きさを身にしみて感じるはずだ。問題は学校教育に携わっていない知識労働者である。とりわけ技術者は、これまで科学偏重によるモノづくりをしてきたはずだ。


当方が新入社員の時に配属された職場は、アカデミアよりもアカデミックな研究所でびっくりした。学位取得が奨励されたのはありがたいが、日々の仕事における仮説設定が強要されたことには驚いた。


確かに科学の実験では仮説に基づく実験を行うことが要求される。しかし、新しい機能を開発しようとするときにそれは必ずしも必要ではない。


当方は大学4年の卒業研究を有機合成の講座でまとめたが、そこで指導されたのは、「何か新しいこと」を見出す実験の重要性だった。そして、仮説が重要ではなく、「何か新しいこと」を見出すのが研究の意味だった。


仮説が重要ではなかった。また、ちょうどコーリーがコンピューターを用いた有機合成経路開発を発表した時代であり、「逆合成」と言う言葉から、「逆向きの推論」の重要性を学んだ。


すなわち、ゴールのモノから逆向きに一段階ずつブレークダウンしていって、そのモノを創り出すための経路を考える方法である。


ゴム会社の研究所で、時には脅迫的に科学的に仕事をせよ、という指導よりも、はるかに健全な「思考方法」を大学4年の時に学ぶことができた。「仮説に基づく実験」ではなく実験は「新しい機能を発見するため」に行われていた。

カテゴリー : 一般

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