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2022.12/18 高分子の難燃性(3)

PPSのLOIが非晶質状態と結晶化状態で同じという結果を見ると、かぐや姫に求婚されたわけではないにもかかわらず、30年以上高分子の難燃性について論文を読んできた立場からすると興奮する。


カオス混合で得られる相溶状態にも興味があるだけでなく、そもそもPPSという樹脂の溶融状態を知りたくなる。なぜなら、LOI測定時の最も高温部の樹脂温度は少なくとも300℃前後に到達しているからである。


ただ、溶融物が垂れていなかったと測定者から聞いているので、炭化するときの吸熱により流動性を示す温度以上に上がっていないと想像される。しかし、LOIよりも高濃度の酸素にすれば着火し、継続燃焼するので、LOIに相当する酸素濃度でも溶融して燃焼している、という妄想を描いても公序良俗に反しない。


そうすると、PPSの溶融状態が気になってくる。PPSの粘弾性データはT社の技術レポートに公開されているが、300℃から降温測定すると280℃ぐらいから動的粘度が上がる。


これは燃焼時の溶融状態観察結果と一致するが、カオス混合による6ナイロンの相溶現象を観察した結果と一致しない。技術レポートを疑うわけではないが自分で粘弾性測定器を用いて、ある方法で測定すると、動的粘度が250℃程度まで変化せず低粘度を示す結果が得られる。


この測定結果に驚いて、いろいろと実験を進めると、やはり興奮する妄想が見えてくる。今ならば冷静に実験を進めるが、若い時には興味に任せた実験となる。


この動的粘度の実験から、燃焼時におけるPPSの溶融状態では、球晶が完全に崩れずに架橋点となって流動しているかもしれないという想像をしている。6ナイロンを相溶させたPPSの同様の実験から、まったく球晶が存在しない状態からわずかにラメラ晶程度はできているかもしれない不均一構造の妄想を描くことができる。


モザイクがかかったような写真を説明しているようで申し訳ないが、粘弾性測定装置はその仕様から300℃以上の温度で測定ができない。


また、興味がわいてきてもう少し、もう少し、と思ってみても、周囲に楽しんで仕事をしろと強制しているような気持になり、一種のパワーハラスメントではないかと心配になってくる。


こうした制約のある中で得られたデータを見る限りでも、PPSはLOI測定時に溶融するが、ラメラ以上の凝集状態で燃焼している妄想を楽しむことができる。


これが非晶質状態で架橋硬化したフェノール樹脂よりもLOIが高くなる原因ではないかと密かに思っている。熱可塑性樹脂よりも熱硬化性樹脂のほうが難燃性が高い、という仮説よりも、燃焼時に炭化しやすい構造生成が難燃性の高さを決めているのかもしれない、知らんけど(大阪人でなくても使用される若い人の今年の流行語である)。

カテゴリー : 一般

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