2023.01/05 仕事を楽しむ方法(4)
上司に世界初の研究テーマ企画を命じられ、それを実現しても成果とならない。これは特許を見ていただけば、企画し研究を推進して特許を書いた人物が末席になっているところにも表れている。
上司に命じられて夜遅くまでサービス残業しホスファゼン誘導体を合成して実施した工場試作に成功したところで始末書を書かされた。
それでも会社を辞めたいと思わなかった。新入社員の2年間は残業代がつかないが、定時後自由に研究をやってよいと上司が言ってくれたから、楽しかった。
無機材料のアルコキシドを均一に分散し燃焼時の熱でガラスを生成する高分子の難燃化技術は、コンセプトが世界初だけでなく、有機材料からセラミックスを製造する前駆体技術にも広がる可能性のあるアイデアだった。定時後の研究で高純度SiCの前駆体技術を完成させている。
40年以上前のあの頃は、必ずしも労働環境は良くなかったが、ヤミ研を行う自由な時間が許され楽しかった。ドラッカー少年ではないが、自分で新たな問題設定をして研究を進める楽しみが保証されていた。
給与は増えないどころか始末書まで書かされているが、貢献と自己実現の欲求は満たされていた。これが新入社員の気楽さと後になって理解できたが。
カテゴリー : 一般
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