2023.02/09 高純度SiCのコストダウン(1)
日本の半導体技術を復活させようと政府も本腰を入れ始めた。半導体工場ではかつて高純度石英の治工具が主流だったが、最近はウェハーの大口径化もあり、高純度SiC治工具が伸びている。
高純度SiCの治工具を製造する方法として、高純度炭素製品の表面をSiCでCVDにより被覆する方法と全体を高純度SiCで製造する方法とがあるが、後者の方が長寿命であり、その市場ものびている。
問題となるのは高純度SiCの原料製造方法だ。やはり一番低コストとなるのは、フェノール樹脂とポリエチルシリケートを前駆体とする合成法である。これは40年以上前にゴム会社でデータサイエンスを用いて開発された。
その時ホウ素を添加すると粒度のそろった粉体を製造できる特許を出願していたが、同じ会社から4年ほど前に特開2018-135249が公開された。
もちろんこの特許は公告とならなかったが、40年以上前に出願された発明と同じ内容の特許が異なる発明者で出てきてびっくりした。
この技術は確かに優れた方法であり、40年以上前のことを知らなかったら、びっくりする発明である。ゆえにあわてて出願したのだろう。しかし、この特許を見て恥ずかしくなった。
技術の伝承がうまくなされていなかったからだ。当方は1991年10月1日に転職したがその後1か月ほどは最後の上司に頼まれ、技術の伝承をしている。それも無償である。
40年以上前なので当時の前駆体技術のことなど忘れられているようなので、少しこの活動報告に書いてみたい。高純度SiC治工具のコストダウンを狙うならば原料のSiCをコストダウンしたほうが効果が大きい。
例えばAGCのようなガラス会社であれば、高純度石英粉なども容易に手に入るはずなので、この前駆体法を応用するとよいが、単純にフェノール樹脂と高純度石英を用いてもコストダウンは難しいから技術とは面白い。
カテゴリー : 一般
pagetop