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2023.02/20 技術開発の失敗とは何か

故ドラッカーの有名なセリフの一つに、「何が問題か」があるが、これは正しい問題を問うことが重要で、正しい問題を見つけることができれば、それで80%問題解決できたようなものだ、という。


そして、問題の定義として、あるべき姿と現状との乖離だといっていた。この言葉を真似れば、失敗とは本来のあるべき姿を実現できなかったことだろう。


昨日のロケット打ち上げについて、あるべき姿が「打ちあがっていたこと」ならば新聞記者が言っていたように失敗である。


しかし、日本のロケット技術はまだ未熟なので打ちあがるかどうか分からない。カウントダウンして打ちあがらなかった時に発射台に無傷でいたならば成功、と考えていたなら記者会見で述べていたように成功だろう。


ただし、この論法に従えば、H3に課せられたすべてのミッションが達成されるまで成功か失敗か判断できない。先日の記者会見では、「成功か失敗か分からない」が正しい答えかもしれない。


これは、最終ゴールで成功か失敗かを判断しようという考え方である。このとき、納期が設定されなければいつまでたっても成功か失敗かを判断できないことになる。


最終ゴールの実現だけに意味がある場合には、納期を設定せず成功するまで努力を続けることになるが、技術の大半は時間とともに設定された最終ゴールの経済的価値が下がってゆくので、納期を設定して成否を判断することになる。


記者会見では、今年の3月某日をデッドラインと述べられていたので、その時先日と同じ状態だったとしても、今度は失敗という判断をすることになる。


納期を設定しない技術開発は稀である。大抵は、目標とすべき品質と価格、納期を設定してから技術開発を行う。そしてこの3点の視点で成功か失敗かを判断する。

カテゴリー : 一般

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