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2023.03/09 ラテン方格を用いるTM(4)

統計の分散分析では、例えば誤差の分散も正規分布に従うとして、各因子の分散と誤差の分散との比較を行う。すなわち、各因子の分散を誤差分散で割った分散比が十分大きいかどうかの考察を進めながら、有意な因子を選んでゆく。


タグチメソッドでは、実験段階で誤差を2水準あるいは3水準変動させた実験を行いSN比を求める。この実験において、調合誤差因子が必ずしも正規分布をしていなくてもSN比を求めることができる。


すなわち誤差分散の正規分布を前提とせず実験を行っている。TMのSN比におけるこの視点に初めて故田口先生からご指導を受けたときに衝撃を受けた。


分かりやすく表現すると、その分野のド素人でもTMの手順通りラテン方格を用いた実験を行えば、再現性のあるSN比を求めることができる。


転職したばかりのころ、フィルムの表面比抵抗の測定で当方の測定値の分散と実験補助担当の女性の測定値の分散が異なっていることに疑問を持った。


当方は誘電緩和の問題を避けるために電極をセットしてから一定時間経過後の値を測定していたが、実験補助担当の女性は、その手順を適当に行っていた。ひどい時には電極を設定後おしゃべりを終わってから測定値を得ることもあった。


このような状態でもラテン方格を用いたTMでは、再現よく制御因子の水準を選択できるところがすごいのである。実際にTM導入後、開発効率が著しく向上している。


一因子実験を効率よく感じるのは、運が良い時だけである。分散が保障されない誤差の底なし沼にハマった時の一因子実験は、エンドレスとなることもある。


TMと異なる実験計画法でうまく最適条件を求められない原因もここにあると思っている。ラテン方格に割り振る測定値において、誤差の分散が皆同じ正規分布に従っている補償など無いのだ。

カテゴリー : 一般

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