2023.03/29 高分子の難燃剤
高分子を不燃化することはできないので、その難燃化技術が1970年代から盛んに研究され、リン酸エステル系難燃剤や臭素系難燃剤が1990年ごろまで多数開発された。
2000年前後までこの難燃剤開発は続けられたが、最近は新難燃剤の話題を聞かない。起業後PH01という難燃助剤に相当する材料を開発している。
ただ、難燃剤よりも高い価格なので普及していない。原料価格から大量に生産すれば価格が下がると思っている。中国のローカル企業がこの性能に興味をもってコロナ禍前にいろいろと検討してくれたが、価格がネックとなり用途が広がっていない。
その検討過程でPPSの結晶化抑制剤としての機能が発見され、その実用化が進んだが、使用量が少なく価格を下げるまでに至っていない。
難燃剤の話に戻るが、昔難燃剤は安いものなら200円/kg程度のリン安があったが、その添加剤としての機能から用途が限られた。ホスファゼンは2000円/kgであり10倍の価格にもかかわらず、万能だったので盛んに検討された。
しかし、その価格がネックとなり電子部品分野以外の用途に広がっていない。汎用樹脂の難燃剤は、高いものでも1000円/kg未満の材料が選ばれている。
素材分野ではコストパフォーマンスで用途が決まるので、多数の難燃剤がこの50年間に開発されたにも関わらず淘汰が始まっている。商品として残しておいてほしい化合物がいくつかあり、市場原理に悩んでいる。
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