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2023.04/24 なぜデータサイエンスは嫌われたか

研究所へ配属されて3か月間、混練の神様と呼びたくなるようなレオロジーの専門家の指導を受けた。技術者人生の思い出として上位に来る楽しい体験だった。


その指導社員は、ダッシュポットとバネのモデルでレオロジーをシミュレートする名手だったが、研究所ではこのような手法は歓迎されない、とボヤいていた。


その他も含め、研究所ではデータサイエンスによる問題解決手法(当時はこのような呼び方ではなかった。しかし、新QC7つ道具に問題解決法としての多変量解析が紹介されていた。)は嫌われていた。


いわゆる仮説を設定し帰納法で進める手法が唯一の問題解決法であり、QC手法も含むその他の手法を排除する風土だった。


データサイエンスの手法はヒューリスティックに研究開発結果を見通すには便利な手法であり、これまで当方は成功事例を多数持っている。ただし、これらの成功事例は、ゴム会社以外では公開してこなかった。


ゴム会社の研究所では、イノベーションを起すぐらいの気持ちで公開してきたが、その結果反発を受けた可能性を否定できず、転職後はこっそりと使っていた。


多変量解析を一度公開したことがあるが、やはり評判が悪かったので、管理職の隠し技として活用してきた。研究職であればどのような問題解決法でもそれが合理的であれば受け入れるべきと思っているが、研究職にしがみつく人ほど科学にこだわる。


この理由をゴム会社ではよく理解できなかったが、転職して分かったことは、科学にこだわると、ゆっくりと、あるいはのんびりとテーマ運営できるからである。また、できそうもない時には、否定証明を行えばそれで成果を出せたような気分になれる(当方はこの理由ゆえに研究が好きである。しかし、サラリーマン時代には早く事業成果を出すことを第一として仕事をしてきた)。


データサイエンスでは、できそうだ、という見通しが得られても、どうしたらよいのかまで示してくれないケースが多い。また、純粋な科学の方法と少し異なるので、非科学的と排除しても周りが納得してくれる。


データサイエンスは、本来研究開発を効率的に手助けしてくれる道具であるにもかかわらず、研究職独特の「非科学排除」の思想ゆえに導入を進めにくい企業もあるのではないか。


タグチメソッドでさえ、日本ではその普及に時間がかかっただけでなく、便利なメソッドであるにもかかわらず、それを毛嫌いする技術者や研究者が今でもいる。

カテゴリー : 一般

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