2023.05/21 技術と科学を意識することの重要性
科学誕生以前から技術が存在していたことを否定する人はいない。技術の歴史は進歩ばかりではなく、民族が滅び文明とともに消えた技術が存在する。
科学については、未だ解明されていない現象も存在し、発展途上だ。素粒子論は行き着くところまで来たように思われるが、生命科学は、発展途上である。
20世紀は、科学的な技術開発が唯一の方法と偏り過ぎた考え方だった。E.S.ファーガソンはその歪に着眼し、「技術屋の心眼」を書いている。20世紀末にアメリカではトランスサイエンスということばがうまれているが、これが日本に伝わったのは21世紀になってからである。
バブル崩壊の影響があった。バブル崩壊により1980年代科学論のブームだったが、それも消えた。日本の科学論は、同時期のアメリカと異なり、未来がバラ色という傾向が強かった。
バブル崩壊から30年以上たっても日本経済は以前の輝きに戻っていないが、これは日本発で大きな技術のイノベーションが起きてないからだ。
1980年代には日本発のセラミックスフィーバーが世界を席巻し、やがてナノテクブームへと広がっていった。やはり、日本発のイノベーションがGDPの飛躍的上昇のために必要だろう。
日本の技術開発で問題と感じているのは、非科学的な内容を全否定するところである。カオス混合技術で学会賞に推薦されたが、フローリー・ハギンズ理論で否定される現象をあからさまに嘘だろう、とプレゼンテーションの席で言われた。
あまりにも失礼だと思ったが、実際の現象として起きていることを改めて理解してほしいとお願いしている。科学的に説明できなくても現象として自然に起きている機能を活用した技術は、カオス混合以外でも存在する。
技術をいつでも科学的に理解できるとは限らない。科学で理解できない現象を活用した技術でもそのロバストが高いならば十分に実用化できるのだ。
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