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2023.06/09 PPSと6ナイロン(1)

PPSと4,6ナイロンの相溶を証明したのは東工大扇沢研究室である。PPSへ4,6ナイロンが配合された混合物を二枚の反対方向に回転するガラス円盤に挟んでその場観察する実験を行っている。

 

この実験でコンパウンドは300℃になると周辺部が透明になる。円盤の周辺部は、中心部よりも剪断速度が速いので、この観察結果は、剪断速度があがるとPPSと4,6ナイロンが相溶することを示している。

 

PPS/6ナイロン/カーボンの配合によるコンパウンドで中間転写ベルトの押出成形を担当することになった15年以上前にこの論文を読んだ。

 

そして、半年後に当時の歩留まり10%未満だったベルトの生産をカオス混合によるコンパウンドで100%にできる確信をしている。

 

フローリー・ハギンズ理論によれば、2種のポリマーブレンドが相溶する条件はχが0にならなくてはいけないので、この確信は自信というよりも東工大の研究結果を信じて教科書を否定するぐらいの度胸が必要だった。

 

カオス混合によるPPSと6ナイロンのブレンドではχが0でなくても相溶し透明になってくれたのだが、予備実験も研究も何も行わず生産ラインでこの現象をいきなり確認しようとしたのは無謀といってもよい。

カテゴリー : 高分子

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