2023.07/11 高分子と火災と評価技術(1)
未だにテニスのボールガール問題がニュースになっている。これは失格とした判定を厳しすぎると誰もが思っているが、それを審判団が無視しているからである。また、無視していても審判団の非を責めるルールはない。
テニスではないが、広末夫人の不倫問題もくすぶったままだ。毎日のようにネットニュースになっている。この問題は週刊誌が報じたときに当人は全否定したのだが、その後状況証拠がニュースとして報じられ、今は不倫問題と言うよりも熱愛問題として報じられている。
テニスのボールガールの問題は誰もが現場を映像で見たのだが、不倫問題は週刊誌記者も含め誰もその現場を見ていない。かたやルールブックに記載されていないのでいつまでもくすぶっているのだが、不倫問題はマスコミが報じれば報じるほどますます燃えさかるような状況となっている。
実は高分子と火災の問題は両者の様子がごちゃ混ぜになったようなどろどろしたトランスサイエンス問題だ。出火元が分かっているならば、そこに用いられていた高分子材料が規格通りの適切な品質だったのか議論がなされる。
しかし、その後の議論が煮え切らないものになることが多い。それで、民間の保険会社が作ったUL規格が電化製品で使われるようになった。
一方出火元の目撃者が無く、燃え盛る火の手を早く消してほしいと願っても一度大きくなった火は、それなりの時間をかけないと消すことができない。そして火が消えてから、最も焦げていたところが出火元と判定される。誰もそこから火が出たことを見ていなくとも、である。
燃え盛る映像や、消火後の結果から火元を推定する方法が科学的に正しいのか知らないが、経験的に納得できるということで皆が信用している。
ゴム会社で初めて高分子の難燃化技術を担当した時に、このようなトランスサイエンスの分野であることを学生時代に知っていたので少しでもアカデミックに研究できるよう努力した。
昨日のらんまんで徳永助教授が学生を諭した、「どうやってここに来たかは問わない。だが、そこから変わっていけるかどうかだ」という名言がネットで話題になっている。
嫌な仕事でもどうやってそれを自己実現に結び付けて、そして社業に貢献するのかが大切とドラッカーにかぶれていたので高分子の難燃化技術研究のテーマを前向きに推進したが、この徳永助教授の名言を話題としたニュースの方がボールガールや不倫の話題をいつまでも流すより健全だと思う。
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