2023.08/16 フロントローディング
製造工程の前倒しをフロントローディングと言ったりしていたが、最近は研究開発の企画段階で諸問題を検討する過程にも使われるようになった。
50年近く前のゴム会社の研究開発に比較すると、かなり企画に重点が置かれるようになった。30年前あたりからMOTが注目された成果であり、良い傾向である。
ゴム会社の最初の指導社員とは3か月間という短い期間のご指導だったが、その次の指導社員とは男女の性差以外にその指導内容に雲泥の差がありびっくりした。
しかし、その大きな差があってもその女性指導社員が研究開発本部の標準社員と聞いてさらに驚いた。3か月間の指導社員よりも5歳若い美人の指導社員だった。
最初の指導社員から、教えたことを研究開発本部内では言わない方が良い、とアドバイスしてくれたが、その時奇妙な納得が得られている。最初の指導社員のフロントローディングを取り入れた企画スキルは、当時あまりにも前衛的過ぎた。
すなわち、企画段階ですでにモノがほぼ出来上がっていたのである。もちろん商品として仕上げるには耐久性データはじめ多くのデータを揃える必要があったが、完成品とほぼ近い物性のモデルサンプルが出来上がっていた。
このモデルサンプルだけでなく、ダッシュポットとバネのモデルによる材料物性のシミュレーションがなされ、代表的な配合設計因子を変えたときにおきる物性変化の予測グラフまでできていた。
それでは新入社員の当方は何を行えばよいのかと質問したところ、モデルサンプル以外により良い配合が無いか探すことだという。すなわち、ポリマーを組み合わせたときの相分離については予測が不可能なので、と説明されていた。
フローリー・ハギンズ理論のχで予測がつきそうなものだが、実際に生じる相分離ではプロセスにより同一配合でも異なる結果となるとのこと。要するにやってみなければわからないという意味か、と質問したら、その通り、と言われた。
フロントローディングで物性予測までできていたが、最良の配合を見つける作業はやってみなければわからない状態だった。そこで研修で習ったばかりの実験計画法を持ち出すのだが、続きは後日。
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