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2023.09/19 新規ポリマーアロイ(4)

PPSは結晶化しやすい樹脂で、力学物性に影響が出るほど球晶が大きくなる。例えば力学物性測定用に射出成形されたPPSを200℃で1時間ほど放置すると、引張強度は低下する。


これをPPSの劣化と勘違いしてはいけない。球晶が成長したために靭性が低下し、強度が低下したのである。再度粉砕して射出成形すれば強度は復活するのでPPSの分子が断裂したわけではない。


PH01という新たなPPS添加剤を開発した。この添加剤は、カオス混合によりPPSに相溶するが、二軸混練機だけで混練したのでは相溶しない。


PH01を7%添加したPPSをカオス混合しコンパウンドAを製造した。このAを射出成形し、200℃1時間放置しても強度低下しない。6時間放置しても強度はそのままである。


ところが、PH01を同様の添加率で通常の二軸混練機だけで製造したコンパウンドBでは、200℃1時間の放置で強度低下する射出成型体しかできない。


AとBを化学分析しただけでは、その差異は不明である。すなわちリバースエンジニアリングで解明できない射出成形体を製造できる技術ができたのである。


これは中国ナノポリスで行った研究の成果で国内の某社で実用化されている。特許も出願されているので興味のあるかたは確認していただきたい。もちろん弊社へ問い合わせていただいても構わない。

カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子

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