2023.09/23 データサイエンスのスキル(1)
バブル崩壊直前に「不確実性の時代」や「第三の波」など新たな時代の到来を予言する書籍がベストセラーとなっている。そして資本主義社会における知識労働者の出現を論じたドラッカーは、「誰も見たことの無い社会が始まる」と遺作で述べて亡くなっている。
50年以上前に電卓が登場し驚いた記憶が今でも鮮明に残っている。そして、そこに搭載された小さなマイコンが、この40年間におけるイノベーションの主役であることを誰もが認める時代になった。
当方は新入社員の時にIBM3033というメインフレームコンピューターと出会い、業務でデータサイエンスの可能性について研究を始めている。
ところがコンピューターの使用料は各部門に使用時間に応じて配賦されるので、同僚からハラスメントを受けるようになった。さらに、直属上司から命じられて、乗用車一台分に相当するローンを組みMZ80Kを中心にしたコンピューターシステムを購入する事態にまで至っている。
ただし、それは「花王のOAパソコン革命」というベストセラーの影響で、研究所内にOA委員会が設置され、業務を推進するためにパソコンが必要となったことがきっかけだった。
上司がOA委員長であり研究所にパソコンを購入する予算が無かったため、このような異常な事態になったのだが、初任給10万円の時代に、新入社員へ80万円のローンを組ませて仕事を命じる問題をY本部長も含め誰も気がつかないような時代だった。
なぜならベストセラーとなったその本には、10数万で購入できるパソコンでOAができる、と書いてあったため、1か月分の給与程度で購入できると誤解されていたからである。
当方は誤解を正すために、ローンの保証人を上司にお願いしているが、上司は、購入リストを確認しあっさりと押印したので、購入せざるをえなかった。10数万円で購入できたのは、CPUの搭載されたキーボードだけであることなど誰も知らず、当方が趣味で購入すると誤解された可能性がある。
プリンターやフロッピーディスクドライブなどの周辺機器は本体よりも高く、それらを揃えて初めて業務に使用できるシステムとなることを上司に説明しても、ベストセラーにはそのようなことは書かれていないと一蹴されたのである。
また、10数万円でOA革命ができるというウソの情報をまき散らしても、その社会的責任を問われないどころか、称賛されたような社会背景もある。
TVではこの著者とその会社が取り上げられ、ホワイトカラーのOAとして大々的に報じられたのでご存知の方もいるのではないか。その陰で悲惨な目にあっていたサラリーマンに同情してくれたのは友人だけだった。当方は第3の波の被災者となった。
カテゴリー : 一般
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