2024.03/17 データサイエンスの効果的活用法(5)
データサイエンスを用いると大量の数値データに存在する隠れた機能なり因子を見つけることができる。すなわち、データに対して処理を行い、回帰式を求めたりデータの分類を行うことによりそれが可能となる。
多数のデータの中から因子を見出す方法としてマハラノビスのタグチメソッドが有名であるが、因子に優先順位をつけて整理したい時には、主成分分析が便利である。
研究所で集められたデータは、ある仮説に応じて実験が組まれ、その結果得られたものである。そのような、データ群に対してもデータサイエンスは有効であり、仮説に隠れていた因子を見出してくれる。
新入社員のスタートをゴム会社の研究所で研究員スタッフとして配属された。初めての指導社員は優秀なレオロジストで、ダッシュポットとバネのモデルを使ったシミュレーションにより新しい防振ゴム用のゴムを設計し、その実際の配合を行うのが小生の仕事となった。
シミュレーションデータから防振ゴム用のゴムのあるべき姿が描かれた。それを実現するために従来技術であるカーボン量と架橋密度のコントロールが行われるが、この方法では限界があるので、樹脂とゴムのポリマーアロイを開発するのがテーマの目標だった。
しかし、樹脂とゴムをただブレンドしただけで、いつでもあるべき姿を実現できる配合とはならなかった。そもそもTgが大きく異なる樹脂とゴムを均一に混練するスキルが必要だった。
スキル向上のため混練を繰り返すことになる。同じ配合だけ練っていてはもったいないから、様々な樹脂との混練を繰り返した。データが多数集まった。
このデータの中には、スキルに関する因子以外に樹脂の種類やその他の因子が含まれている。ばらつきも含め、ただデータ群だけを分類するならば、判別分析やマハラノビスの距離を求めることになる。
しかし、全体の変動に大きく寄与している因子を探すならば主成分分析となる。混練の練習を2週間しただけで、樹脂補強ゴムの特性やその設計因子がデータサイエンスにより見出された。
カテゴリー : 一般
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