2024.03/19 データサイエンスの効果的活用法(6)
ダッシュポットとバネのモデルシミュレーションから、ゴムを樹脂で補強すると架橋密度とカーボン量の調節では難しい物性を実現できることが分かっていた。しかし、ゴムと樹脂を組み合わせてもTgが大きく異なるので、混練で樹脂をゴムに分散するには工夫が必要となる。
工夫して樹脂をゴムの中にうまく分散できても耐久寿命まで満たした良い物性のゴムとするためには、ゴムに適した樹脂の選択が重要だった。
うまく分散できるゴムに適した樹脂とはどのようなものかはシミュレーションからは出てこない。フローリー・ハギンズ理論から相溶性の良い樹脂がよさそうなことは想像でき、いくつか樹脂の候補を選択することはできる。
しかし、それ以上の情報をえるためには、やってみなければ分からない世界である。この時、科学にこだわれば仮説を立てながら実験を進めることになるのだが、仮説が外れたときのデータは無駄になったりする。
ところが、仮説が外れたデータにも役に立つ情報が隠れている。それは、うまく物性を満たしたデータとダメなデータを主成分分析すると予期せぬ分類がなされた因子として見えてくる。これが、新たな仮説を立てるためのヒントになる。
カテゴリー : 一般
pagetop