2024.03/30 紅麹の問題と品質管理
小林製薬のサプリメントからプベルル酸が検出されたという。これは青カビの成分であり、紅麹の製造工程で青カビが混入したのだろうか。
ここで不思議に思うのは、事件が起きてから本日の発表まで時間がかかりすぎている点である。生産工程で異常を検出できていなかったのだろうか。
40年以上前、新入社員研修で検査工程を担当したときに職長から品質管理の重要性を学んだ。その時に、現場で異常が発生するや否や検出できるかどうかが大切で検査工程は最後の砦、と習った。
加硫ゴムの内部不良の多くは、最後の検査工程で発見できないため原材料段階から製品に至るまで各工程で品質管理体制が敷かれているという。
そして、どこかで異常が検出されたなら、すぐに全ラインを止める仕組みだと習った。社是「最高の品質で社会に貢献」は伊達ではない。
製薬会社の製品ならば、不純物が混入した時に、出荷前に検出できることが常識と思っていたが、健康被害が起きるほど混入していても異常として扱われていない事実や、ニュースで報じられたように異常を医師から指摘されて2か月以上分析に時間がかかっていることにびっくりしている。
因果関係等は不明と報じられているが、当方がここでとりあげたい問題はそこではない。プベルル酸ならば、同定まで行わなくても工程ごとに簡単な成分分析(注)を行っておれば異常を検出できたはずである。
また、健康被害が起きるほどのプベルル酸を生成する青カビの量ならば、目視でも検出できたはずである。
タイヤの品質管理体制よりもお粗末な品質管理を行っていたのだろうか。製薬会社の品質管理は、皆小林製薬のような杜撰な体制で行われているのだろうか。もし、品質管理に自信の無い製薬会社は弊社へご相談ください。ご指導いたします。
(注)例えばクロマトグラフィーの手法では、同定が難しくても、成分の異常を検出可能である。カビの混入は科学的に考えられなくてもFMEAに記載すべき項目である。このあたりの考え方が、企業の品質管理技術のレベルを決める。少なくとも今回の事件は中レベル以上の技術があれば防げたはずである。
カテゴリー : 一般
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