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2024.04/09 昨日のクロ現、紅麹

昨日NHKクローズアップ現代で、小林製薬紅麹問題を取り上げていたが、品質管理問題に深く言及していないだけでなく、元グンゼ技術者の匿名条件の談話に疑問が残った。


公知のように今回の紅麹は1987年にグンゼが研究開発し、50数件の特許で固められた科学の成果である。すでに基本特許が切れていたので匿名者は製造方法を機密性の高いノウハウと表現し、発酵過程で異物は入らないので、粉砕工程以降で異物が入ったのかもしれない(注)、と説明していた。


また、特許によれば嫌気性条件で培養しているので好気性の青カビが繁殖するのを防ぐことができる。この匿名技術者は自信をもって培養過程における他のカビの繁殖を否定したのだろう。


ところが、この点について出演した専門家の見解は、発酵過程で青カビが入ったのだろうと解説し、NHKも番組の構成でこの見解の違いをクリアーに表現していた。


一方、発酵過程のサンプルが抜き取り保管されていることが説明されたが、その他の工程の抜き取りサンプルが存在しないとした。これは品質管理上問題があるサンプリング手法である。


また、グンゼの匿名技術者の発言と比べると違和感が出てくる。匿名技術者が発酵過程で異物が入らない工程と自信を持って発言しているのに、何故他の工程でサンプリングを行っていないのかである。


特許によれば培養タンクは空気以外のガスで満たされていることになっている。ゆえに青カビなどが入る余地はない、と言っている点は理解できる。しかし、このタンクに投入する紅麹原料の品質管理について放送では語られなかった。


数人の専門家がこの事件について語っていたが、やや残念だったのはグンゼの特許について言及していなかった点である。当方が特許を調べたきっかけは、他の紅麹製造者が30日で発酵を終えるところを小林製薬は50日かけているところに疑問を持ったからである。


ニュースに報じられた専門家の意見として発酵時間が長いので異物が入るリスクが高い、という意見が早くから出されていた。恐らく匿名技術者もこの専門家の意見の存在を知っていて、発酵段階では絶対にありえないとしたのだろう。


特許を読むと、もし窒素ガスを循環させていたとしたならば他の製造法に比べれば異物の入るリスクは激減する。それゆえ粉砕工程以降と科学的な推論を匿名技術者は展開されたのだろうと想像している。


この問題は、報じられている内容から品質管理技術が稚拙だったために起きたと予想されるが、驚くのは、今回のような問題のある品質管理を行っているところが多いようだ。また、それに気がついていない企業もあるようだ。いろいろヒアリングを行って日本の品質管理技術の問題に気がついた。


品質管理技術や品質工学は弊社の得意領域であり、特にタグチメソッドはPythonを使い分かり易くご指導しております。お問い合わせください。


また、本紅麹製造技術についてご相談されたい方もお問い合わせください。今回の問題でかなり勉強をさせていただきました。


(注)小林製薬は、工場の移転を行っており、移転の理由がこの匿名者の見解にあったとすると、これまでの小林製薬の対応は不誠実である。推定が入るので詳細は述べないが、すでに死者が出ているので工場移転理由のすべてを公開すべきである。

カテゴリー : 一般

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