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2024.07/12 有機合成と計算機(2)

ドラッカーを情報工学の父と呼んでいるのは当方ぐらいだろう。彼の著書を情報工学の視点で読み直すと、公開された情報をどのように処理したらよいかの説明書になっていることに気がつく。


だから、情報工学の父としたのである。さて、高校から大学へ進学する頃は第一次AIブームだったが、日本ではそれほどの騒ぎになっていない。ただ、有機合成分野ではコーリーの提唱した、「逆合成」という考え方が、話題になっていた。


すなわち、何か複雑な構造の有機化合物の合成ルートを考えるときに、シントンという構造を構成する基本単位に注目し、そのシントンに化合物を分解していって合成ルートを探るのである。


これは、複雑な構造の有機化合物をゴールとして捉え、逆向きに推論を進めて、合成に用いるスタート物質を探る方法である。スタート物質は、1つ以上できるが、その基本化合物をシントンと呼んだ。


これは、第二次AIブームで創薬のプログラム開発がなされ、実用化された。すなわち、第一次AIブームでは、AIの推論が議論され、それが第二次AIブームで実を結んだ格好となっているが、すべてがうまく行ったわけではない。


第二次AIブームではエキスパートシステムがいくつか作られたが、結局それらは、特定の問題を解くには使えたが、汎用の問題を考えることができず。第二次AIブームは短命に終結する。


この第二次AIブームでは、第五世代コンピュータープロジェクトが国研として推進されたが、失敗したと言われている。同じ時代にセラミックスフィーバーが起きているが、これは50年以上前のムーンライト計画の結実したものである。


日本発のセラミックスフィーバーは、クリントン大統領をびっくりさせて、ナノテクノロジーの国家プロジェクトがアメリカでスタートしている。アメリカでは、第二次AIブーム後ナノテクノロジーとともにCPUの研究だけでなくソフトウェアー科学が発展している。


オブジェクト指向のような考え方はアメリカ発である。日本でもハドソンのような面白いソフトウェアー企業が誕生しているが、産業や生活にイノベーションを起こすほどにはなっていない。


不思議に思うのは、有機合成分野におけるコンピューターの導入について、有機合成の専門家の間で知識の差がある点だ。逆合成の知識を持っていない有機合成の専門家すら存在する。


これは、日本においてデータサイエンスあるいはコンピューターサイエンスという分野がどのような認識をされているのかが現れた結果ではなかろうか。


現代では、技術に関わる研究者は、データサイエンスが常識の時代になった。弊社ではデータサイエンスを学びたい人を応援しています。お問い合わせください。

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