2024.08/01 高次構造と添加剤
高分子の高次構造は、今でも難解な対象である。例えば自由体積部分を観察しようとしても苦労する。その量について、DSCで測定されたTg部分のエンタルピーと相関すると言われている。
それではこの部分と成形体密度とが相関するのか、というと、球晶が内部に生成しているときには、球晶の量の影響を密度も受けるはずなので単純ではない。
球晶の量は、X線小角散乱で計測し、それで量を確認できないかなどと一苦労する。ポリマーアロイや低分子の添加剤を添加するとさらに話は複雑になってくる。
相溶は球晶部分で見つかっていないので、ポリマーアロイの少ない成分のポリマーや低分子添加剤の分散は、非晶質部分で起きていると思われるが、非晶質部分には、自由体積部分も存在するのでその分散状態の考察は難しくなる。
ブリードアウトがマトリックスへの溶解度で決まる、と説明されても、それを信じていると市場で品質問題を引き起こすことになる。その溶解度をどのように見積もったらよいのかという難しい問題があるからだ。
難燃剤の効果も高次構造の影響を受ける。ハロゲン系難燃剤は多少その影響の効果は表れにくいが、リン系難燃剤では、分散が悪いと適切な量が添加されていても、残ジンが起きる。ひどい場合には、見かけ、効果が現れなくなる場合も存在する。
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