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2024.09/03 科学と探偵小説

科学は論理学の完成により誕生した、と言われている。おりしも産業革命が始まった時代であり、科学という哲学は、社会で歓迎された。おそらく猫も杓子も科学という考え方を身に着けたいと思ったに違いない。


探偵小説の誕生がそれを表している。名探偵ホームズは一躍スターになっている。彼の事件解決のスタイルそのものが科学的であり、読者はこの本で科学の姿勢を学んだ。


ホームズは、ベーカー街にある事務所で助手のワトソンと仮説を練り、事件解決に動き出す。そして仮説が外れたり、不十分な仮説と反省するとベーカー街に戻り、再度仮説を練り直す。


まさに科学の姿勢そのもので分かり易い。読者はホームズの仮説を練る過程で一緒に推論を展開し、犯人を予測する。当方は探偵小説を読むときに、いつも最後から読んでいた。


ゆえに、刑事コロンボが放映された時に、この番組は当方のツボにはまった。この番組では、まず事件のすべてから始まる。すなわち視聴者は、犯行現場だけでなく、犯人の心理状態からすべて情報を知ったうえで、刑事コロンボの活動を見ることになる。


刑事コロンボは、ホームズのように科学的に忠実に事件解決に当たらない。なぜか、偶然犯人とすれ違ったり、彼のかみさんの話が飛び出したりするのは、水戸黄門のご都合主義のようでもあるが、それも面白い。


とにかく、コロンボは科学に拘らず、ありとあらゆる方法で推論を展開し、時には、緻密ではない推論を完成させるために、犯人しかわからないトリックを仕掛け、犯人逮捕したりする。


日本では違法なのだが、アメリカでは許されるらしいが、この非科学的工夫を駆使して犯人逮捕する過程を視聴者は楽しむことになる。ゆえに名探偵ホームズよりも数倍面白い。ちなみに、このようなスタイルを倒叙探偵小説と呼ぶ。

カテゴリー : 一般

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